2010-01-01から1年間の記事一覧

俺俺

俺俺作者: 星野智幸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/06メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 101回この商品を含むブログ (62件) を見る星野智幸の新作が出ていることを新聞の紹介記事で知ったので、読んでみた。 30歳近い主人公・均は、マック(マクド…

フォーチュン氏の楽園

フォーチュン氏の楽園 (20世紀イギリス小説個性派セレクション)作者: シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー,横山茂雄,佐々木徹,中和彩子出版社/メーカー: 新人物往来社発売日: 2010/07/24メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る…

井上輝夫 冬 ふみわけて

〈霧と鐘、はかなく「ある」。〉(「ことば」最終行)高橋源一郎『ニッポンの小説』を読んで、最も驚いたことは、井上輝夫先生が詩集を刊行されていたことだ。萩原朔太郎賞の候補になっていたようで、その選考会の様子が、素敵に脚色されていた。 井上先生は…

宇宙ショーへようこそ

まったく期待をしないで観に行った。というのも、予告編がかなりバカっぽかったから。犬型宇宙人と知り合って宇宙に招待された子どもたちが何かドジって地球に戻れなくなり、行った先をめちゃくちゃにする話……なのだと思ってしまったからである。予告編での…

トイ・ストーリー3

CGの約30年の歩みを考えるとくらくらする。それはハードウェア発展の歴史なわけだけど、それがどれくらい、物事を変えてしまったかを思うと、それにもまたくらくらとさせられる。けれども、物語の根幹は、それほどには変わらない。変わらないもの、変わるも…

空に唄う〜文藝書評副産物シリーズ

『野ブタをプロデュース。』の人の二作目。野ブタって70万部も売れたんだって。すごいね。 二作目が標記の作品で幽霊ものだった。薄ぼんやりとしたお人好しの僧侶の青年が、彼以外には見えないし声も聞こえない若い女性の幽霊の世話をする話。幽霊が、重い石…

無害な人

昨日の話。 知人(男)から電話がかかってきて、私たちよりも若い世代の、一人の評論家(男)の話になった。要するに、知人はその評論家を批判し、私はたまたまその評論家と面識があったので、悪い人ではない、素朴なところがあるのだ、と弁護(?)した。す…

高橋源一郎『ニッポンの小説 百年の孤独』(文藝春秋)

いとうせいこうの書評がおもしろかったので、読んでみた。 自己表現のために書く、という言葉が、ずっとわからなかった。「自己表現」というのがそもそもわからない。様々な分野のアートに関連してこの言葉が使われる。自分のことを語る、ということなのだろ…

あすなひろし展

6/23日に書いた原画展へ行ってきた。 広いスペースで、時期別に原画を展示、代表作の一部「緑の花」「青い空を白い雲がかけてった」の一話分などが全ページ見られるようになっている。さらに遺品を展示し、BSマンガ夜話のあすなの回を流している。うちでは衛…

情報

『文藝』を読んで、幻想作家事典に入れるべき人を何人も落としていたことを発見した。 大物がいたので、あちゃーと思った。松山巌。本格的な幻想小説作家だったとは知らなかった……。ごめんなさいごめんなさい。 あとはどうでもいい風俗小説を書いている作家…

金井美恵子大先生

引き続き文藝の書評を読んでいる。2005年まできた。これをネタにいくらでも書けるのだが、とりあえず一つ。仲間ぼめばかりである。 たまに非常にレベルの高い書評があると、小谷真理だったり、『文藝』調じゃないと思うと豊崎由美や大森望だったりする。 こ…

批評の意義

先日の大波小波は珍しくまともだった。 電子出版で個人出版がますます増え、プロもダイレクト発信の可能性があるから、プロアマの見分けが難しくなるという話が基本。で、批評家の役割が増す、と言われているんだそうだ。そこで大波小波の筆者は、そんなこと…

あすなひろし原画展

神田のギャラリーにて来週から二週間。 詳しくは下まで。http://asunahiroshi.jp/ 今週末より長坂に帰る予定なので、会期の最後の方に行きたいと思っています。 あすなひろしは……少女マンガから青年マンガまで読んでおります。 子供時代の印象というのは強烈…

前川先生逝去

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20100615ddlk26060583000c.html存じ上げませんでした。 ご冥福をお祈りします。

物語に支えられた人生

ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』岸本佐知子訳(白水社) シルバーは海辺の田舎町ソルツの、崖の上に斜めに建った家の中で育った。「人生に斜めに入ってきた」彼女は、人と同じように真っ直ぐには人生を歩めない。 10歳の時に母を亡くし、盲目の灯…

ハリー・ポッターと死の秘宝

今さらだが、ようやく読了したのでちょっと書いておく。 以前、四巻まで書いたところと、意見に大差はない。 http://isidora.sakura.ne.jp/isi/ran37.html やはり五巻以後はミステリ度は薄まり、作者から一方的に与えられる過去の説明が増え、謎解きはほとん…

まことの恋をする者は一目で恋をする

東京新聞、岡井隆の今朝の言葉。 マーロウ→シェイクスピアの用いたせりふとして紹介している。 この結びがむりやりだ。「一目惚れは男女の間だけではない。」うん。それは当然だ。続けて、結語。「好きな作家に一冊で惚れ込むこともある。」文章も変だが、内…

ブルータス、お前もか

コンテクストが違いますが。昨日今日の「東京新聞」の著者インタビューから。 中森昭夫「アナーキー・イン・ザ・JP」(『新潮』2010.5) 大杉栄の霊に憑依された17歳の少年が繰り広げるドタバタだそうです。 どうしてみんなファンタジーを書くのか。要するに…

ライアン・ラーキン

この4月にDVDが出ていたのを知らず、最近購入。普通版があるのを知らず、間違えてつまらない冊子付きの特別版を購入してしまった。 ドキュメンタリーがついてそれなりの長さなので、ラーキンの作品は、全部で25分ぐらい。なにしろ「アニメーション映画史」…

ノルシュテイン

神奈川県立近代美術館葉山で、ノルシュテイン展が開かれているそうで、山村浩二が東京新聞のインタビューに答えて、その特徴などを説明している。「田舎医者」などを観れば、確かにノルシュテインなども意識しているのだろうな、という感じはするけど、どれ…

ラピュタアニフェス

阿佐ヶ谷ラピュタのアニフェスは日程がほぼ終わり、ノルシュテインを除く全プログラムを観た。 今回はエストニア作品集の中で、プリート・テンダーをとてもおもしろく観た。「キッチン・ディメンションズ」はフォルムの変化を描いただけのものだが、こういう…

リアリティを求めるということ

小説にリアリティを求めてはいけないのだろうか? 最近、読めども読めどもリアリティに行き当たらず、誰もそんなことを気にしていないどころではなく、最近では、それを求めるのは間違いであり、してはならないことだという風にでもなっているのだろうかと思…

網笠山に登る

一週間の予定がもろもろの事情で早く帰ることになった。土曜日、久しぶりに網笠山に登った。 そもそも登山自体、ろくにしていない。事典の作業が本格化する前、2007年の夏に白馬に行き、その後は瑞牆に一度行ったくらいではないか。八ヶ岳に行くのも久しぶり…

長坂

今日から一週間ほど長坂に帰る。 御用の方は、長坂にお電話ください。 『幻想文学』はようやく30号まで終わった。 まだまだ先は長い……。

『幻想文学』をPDF化中

『幻想文学』の古い号をスキャンしてPDFデータに変換中。普通のスキャナーを使ってたらたらやっているので、ちっとも進みません。やっと10号くらいまで来た。 頭にはさまざまなことが去来するが……過去のことを書いておいた方がいいような気がする。 長山君が…

The Pyramid

『我が町、ぼくを呼ぶ声』として邦訳されている。Golding ,Williamの自伝風の体裁を持つが、きわめてフィクション性が高いと推察される小説である。イギリスの階級差別の実態が実感としてよくわからないのでどうしても茫洋としてしまうのだが、このような、…

情報知識学会

東大にてhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jsik/kenkyu/2010/2010program.htmlシンポジウムの様子はネット中継するようだ(上のページからリンクされている)。

この頃

耳詰まりがよくならないので耳鼻科に行ったら、中耳炎ではないと言われた。 耳の聞こえはわるくないのだし、空気を通してもよくならないし、なんかこの詰まった状態で何となく改善するのを待て、ということらしい。 というわけて耳詰まりの上にダイエットに…

小説が終わること

小説を最後まで読んで読者は小説の全体(内面)を手にする、そして読者は内面の共同体に参画する。というのが昨日の石原千秋の本に書かれていたことだ。石原はプロットに隠された内面を求めて小説を読むのだと言っている。まあ小説の全体を内面だと言ってし…

中耳炎

1日に長坂に帰り、2日あるいは3日の真夜中から発熱・咽喉炎などの症状に見舞われ、右耳が詰まった。今日はようやく熱も下がったので、病院に行ったら、中耳炎であるとの託宣をもらった。少し本を読んだ。石原千秋『読者はどこにいるのか』 新聞の紹介を見て…