空に唄う〜文藝書評副産物シリーズ

野ブタをプロデュース。』の人の二作目。野ブタって70万部も売れたんだって。すごいね。
二作目が標記の作品で幽霊ものだった。薄ぼんやりとしたお人好しの僧侶の青年が、彼以外には見えないし声も聞こえない若い女性の幽霊の世話をする話。幽霊が、重い石でできたような世界にいて、壁を通り抜けることも物を持つこともできない、というところは少し面白いが、この幽霊の感覚がいまいち判然としない……幽霊だから当然と言われればそれまでだけど。このような恐ろしい状況にまったく動じず、現実に執着しないのは人間ではないからだと見当がつくが、現実との唯一の接点である主人公のそばにはいたがるのはなぜなんだ。人間の名残ということか? 死についての考察もへったくれもない感じなのがやるせない。
二作目がファンタジーということは、ファンタジーを書き続けるのかな? 
現在、日本で最も成功している若手(?)作家は伊坂幸太郎で、彼はほとんどがファンタジーだし、注目の直木賞候補・道尾もファンタ寄りで、うぶかたも当然そう。というような流れに乗っているものか。
そんなことを考えると、少女小説時代にはあまいファンタジーを書いていた角田光代が、その方面に手を出さないのは、エライように思えてしまう(笑)。
ともあれ、この人は、事典に載せるべきだったが、落としてしまったのだ。ごめんなさい。
増補に関しては、ちゃんとまとめてアップする予定なんだけど、だらだらしてて、きちんとした形になっていない。すみません。もう少し時間を……そろそろ心を入れ替えて仕事をしないと(¨;)