無害な人

 昨日の話。
 知人(男)から電話がかかってきて、私たちよりも若い世代の、一人の評論家(男)の話になった。要するに、知人はその評論家を批判し、私はたまたまその評論家と面識があったので、悪い人ではない、素朴なところがあるのだ、と弁護(?)した。すると知人は、ほかの女性(どちらかというと女傑タイプ)からも、そのような弁護(?)というか賞賛(?)の声を聞いたことがあるとのことで、何か魅力があるのかなあ、守ってあげたいような……とかとぶつぶつ言っていた。知人はその評論家と面識がない。
 それでその話はスルーしたのだが、その後、というか、今朝、資源回収の荷造りをしながら思いついた。その評論家とは、男性としては「無害」な感じなのだ。妻子持ちだから、という意味ではもちろんなく、「お友だちでいましょう」というかむしろ「友人でいるのは積極的にオッケー」な人なのである。夫人がいるのだから、少なくとも一人は「無害」な感じじゃないと思ったのだろうが、傍目には、とてもそういう対象として考えにくい……感じがする。少なくとも、私にはそう感じられた。
 私がその評論家を弁護(?)したのは、単に知っている人が愚かな言動で墓穴を掘っていたら、その中に突き落とすことには加担しない、というだけのことなのだが。そしてもう一人の女性も、会ったときの印象を率直に語っただけなのだろう。
 どちらかと言えば「危険」な男に属する知人が、知らぬこととはいえ無害な男性に変な勘ぐりを抱くというのもおかしく、男というものは……と思ったことだった。ま、女でも、「危険」な女にはそういうことがあるのかもしれないけれど、そういうものになったことがないのでわからない。