ラピュタアニフェス

阿佐ヶ谷ラピュタのアニフェスは日程がほぼ終わり、ノルシュテインを除く全プログラムを観た。
今回はエストニア作品集の中で、プリート・テンダーをとてもおもしろく観た。「キッチン・ディメンションズ」はフォルムの変化を描いただけのものだが、こういうものが私はとても好き。
ジョルジュ・シュヴィツゲベルも当然、とても好きだが、DVDでほとんどの作品が見られるし、上映はBetacamだったので、わざわざ観に行くというほどでもなかった。新作は一本「技」があったが、今までの作品の再生産のようであり、今一つであった。
ほかにエストニアのマッティ・キュットがやはり面白かった。
立体アニメーションの現在も興味深く観た。太宰のかちかち山を元に、シュヴァンクマイエルの手法を取り混ぜた高野真「境目のある世界」、百間原作の「豹」が、それなりに不気味な味わいを出していた。いずれもラピュタのアニメーションの学校の卒業制作。今、人形アニメで作る意味ということをよくよく考えないと、作品の質は上がらない。テーマ、表現共に、過去の遺産を徹底的に研究しつくしてこそ、今の表現が得られるのではないか、といくつかの作品を観ながら考えた。
片渕須直特集があり、アリーテ姫マイマイ新子を観た。アリーテ姫からもう10年経つのか。これは以前HPにも書いたが、原作がどうしようもなくひどいので、片渕はこれを根本的に変えてしまった。想像力と手の力を讃えるこの作品は、しかしやはり原作付きなので、どこか不自由であった。マイマイ新子は去年見そびれて今回初めて観たのだが、同じテーマが繰り返されていたが、ノスタルジー物的な志向性もあり、やはり中途半端に感じた。これも原作付きなのだが、私はこの原作者が好きではなく、原作を読んでいない。それにしても、どちらもやはり力のあるアニメーションである。もうちょっと自分の好みに近ければもっと好きになっただろう。