2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

恒川光太郎『雷の季節の終わりに』『草祭』『秋の牢獄』

この三冊は、それぞれ長篇、連作短編集、短編集である。 『雷の季節の終わりに』はジュブナイルで、少年の季節の変転を描いている。風わいわいという精霊に恒川らしい味があるが、ごく普通のライトノベル風ファンタジーである。『草祭』は不思議なことの起き…

恒川光太郎『夜市』

恒川のこれまでに出た作品をまとめ読み中。評価が高いので、期待はずれだったらどうしようかと思ったが、今のところは、ガックリ来てない。大絶賛というほどでもないが、なかなか良かった。 「夜市」は「ゴブリン・マーケット」の変奏曲のような感じ。ヒロイ…

中村弦『天使の歩廊』

ファンタジーノベル大賞受賞作。 1881年生まれの異能の建築家の人生と、彼が手がけた建築をめぐる物語とが絡み合うように語られていく連作短編集。最後の「忘れ川」で、施主(の妻)と建築家の人生が絡み合う形になっている構成はなかなかのもの。癒やしなど…

中村弦『天使の歩廊』

去年のファンタジーノベル大賞受賞作。 明治の初期に生まれた異能の建築家が、この世ならぬ建築を建てる、という設定の連作短編集。 この世ならぬ建築を享受できるのが、大金持ちと、死者(図面のみ)だけというところがなんとも言えないが、ファンタジーの…

久保寺健彦『ブラック・ジャック・キッド』

2007年のファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。少女の姿の死者の霊(らしい)と親しくなる、というエピソードがあるが、あとはただの小学生時代の回想録。 同時に『ぼくとセイと青空と』を読んだ。こちらは犬と放浪する野生児の話で、ファンタジーではない。…

弘也英明「厭犬伝」

2007年のファンタジーノベル大賞受賞作。一昨年のか? 時間の感覚がもうなくなっている。 犬を嫌う話なのかなーと思ったが、そうではなく、厭太郎対犬千夜の対決を描いた話、という意味だった。 日本風異世界ファンタジー。とてもちゃんとしたファンタジーで…

国際児童文学館

移転による費用対効果が疑われる、という読売テレビの追及に対して、教育委員会が秋の議会に向けて将来的な見通しを文書化すると言明。http://www.ytv.co.jp/ten/sp/index.html 結局、金の問題でしかなく、本質的な問題はなおざりのままだが(児童文学館のよ…

メディア芸術総合センター

これをアニメの殿堂と俗称するのはやめたらどうか。ゲームもマンガも、と言っているわけだから。 どちらにしろ、今の展望だと、ハコモノだけで税金の無駄遣いに終わる公算が強い。 予算117億……これ、建設費だけみたいだから。 そこで、先日行ってきた昭和文…