The Pyramid

『我が町、ぼくを呼ぶ声』として邦訳されている。Golding ,Williamの自伝風の体裁を持つが、きわめてフィクション性が高いと推察される小説である。イギリスの階級差別の実態が実感としてよくわからないのでどうしても茫洋としてしまうのだが、このような、人間関係についての小説を読んだときに、読者は一体何を思うのだろうか。
先日、ゲーム・icoをめぐる批評をウェブ上で読んだときにも思ったことだが、批評を投げかけて、それで、プレイヤーや読者にああ、と納得させるのでは足りない何かがあるのではないかと思ってしまったのだが(これでは批評についての持論の背理になってしまうにもかかわらず)、それと同じことを感じてしまったのだ。
解説されて、納得するというのでは足りない。
あるいは説得しようとするのも間違いではないか。
読むことの衝撃とは、そのようなことではないのではないか。
しかし、では、感じない人をどうすればよいのか。アニメのページで見たように、問うのか。想像力がない、感性がない、文学を理解してない、あなたはこのいずれなのか?と。