宇宙ショーへようこそ

まったく期待をしないで観に行った。というのも、予告編がかなりバカっぽかったから。犬型宇宙人と知り合って宇宙に招待された子どもたちが何かドジって地球に戻れなくなり、行った先をめちゃくちゃにする話……なのだと思ってしまったからである。予告編でのシーン選びがまずいのである。実際はどういう話かというと……
過疎地で全学年5人の子どもたちが、夏合宿をしているとき、負傷した犬型宇宙人ぽちを助ける。そのお礼として、ぽちが月旅行に連れて行ってくれる。ところが帰ろうとすると、地球への進入路が封鎖されている。というのも、地球で非常に大きな力を持つ麻薬的植物の研究をしていたぽちが、それを狙う賊に襲われて負傷した経緯を報告し、地球へのACCESSを厳しくすべしと進言したため、即刻ACCESSが遮断された……というバカげたことなのだった。そして5人はそこから様々な体験をしていくことになる。
かみちゅ同様、リアルに徹したアニメではなく、シリアスとコメディと大風呂敷をほどよく入り交じらせ、5人とぽちそれぞれにスポットを当てて物語を紡いでいく。そのため、やたらに長い。136分。しかし、冗漫な感じはしない。スピード感があり、尻すぼみ的なかみちゅとは違って、最後まで整合性を失わず、みごとに見せる。既存のパターンとイメージばかりを使用している点をはじめとして、いくらでも瑕瑾はあるのかもしれないけれど、作品全体として良い物に仕上がっていれば、そんなことはどうでもいいと思う。劇場初挑戦のA-1が、多くの会社のバックアップを受けつつ、見事なアニメーションを見せている。製作に携わったすべての人の大きな拍手を! なお、A-1はPERSONAもアニメ的にはグッドだったし、今もオカルト学院が話題になっている。
期待していなかっただけによけい良く感じられたということはあるかもしれないけれども、そうでなくとも良い作品であると思う。この数年、やはり日本のアニメは素晴らしいと思うことが多くなったが、この作品もその中の一つに確実に入ってくる作品。まもなくアリエッティが公開されるけど、まるで宮崎作品だけが価値があるもののように取り扱うのはいい加減にやめてほしいと思う。