メディア芸術総合センター

これをアニメの殿堂と俗称するのはやめたらどうか。ゲームもマンガも、と言っているわけだから。
どちらにしろ、今の展望だと、ハコモノだけで税金の無駄遣いに終わる公算が強い。
予算117億……これ、建設費だけみたいだから。
そこで、先日行ってきた昭和文学会における近代文学館の現状報告を想い出した。
近代文学館は、文字通りの財団法人で、当初は文学界・政財界の肝煎りで建設されたが、現在の運営は、全集ブームなどの出版ブームに乗って稼いだ23億円を運用し、また寄付金などでまかなっているという話である。今、毎年赤字なのだが、それでもまだだいぶ持ちそうだ。117億あったら、何ができるんだろうと考えた。大したことはできないかもしれないが、研究所を作って人を雇い、いろいろな作業が出来そうだ。ハコなんて、既存の何かを使えばいいじゃないか。
そんなにハコが大事か? もういい加減、土建体質(日本は土建で戦後復興したとは海外の研究者の言葉、ソースは失念)から逃れないとあとがないのではないか。そのためのメディア芸術称揚であり、ソフトの擁護なのではないのか? 宗男議員には悪いけど……。
収集に関して言えば、今なら、ゲームは全面的に救えるらしい。ゲームに関してはこうした施設はまったく存在しないので、意義があるだろう。マンガはまったく無理で、国会図書館の現状、国際児童文学館の危機などを見ても、とてもではないが、こんな施設ではどうにもならないと思う。
ちなみに、近代文学館は、収集費用はそんなにかけてない。里中満智子は、漫画の原画なんかは遺族に捨てられちゃうと言ってて、それが事実なら、近代文学館方式だって、収集はできるはずだが、現実にはとてもそんな甘いような印象はない。しかし何よりも問題なのは、収集することではなく、前にも書いた通り、保管場所だろう。また、研究にも収集・保管にも必要なのはそのような人材である。展示や企画もそうだ。投資はソフトに、つまりは人間になされるべきである。
単に景気対策で建設費用を出すというのでは、税金の無駄遣いと言われるだけだ。とらぬ狸風の集客運営構想がぽしゃると、一般の、アニメにもマンガにもゲームにも興味のない、多くの人たちから白眼視され、アニメ等の肩身がまた狭くなる。
税金は有効に使ってほしい。税金を好きなところに使えるような制度があると嬉しいが、もちろんそんなことをしたら国はつぶれるんだろうな。