恒川光太郎『夜市』

 恒川のこれまでに出た作品をまとめ読み中。評価が高いので、期待はずれだったらどうしようかと思ったが、今のところは、ガックリ来てない。大絶賛というほどでもないが、なかなか良かった。
「夜市」は「ゴブリン・マーケット」の変奏曲のような感じ。ヒロインの立ち位置が微妙過ぎる感じかなー。難点があるとればそれぐらい。文体は今ひとつ。
「風の古道」は異界小説の一バージョン。特に新しいわけではないが、とても魅力的。
 全体に、和風な感じに作ってあるのだが、欧米の伝奇ファンタジーに近い手触りを感じた。デ・リントとかそういうの。
 恒川はホラー大賞を受賞しているのだし、ホラー作家として扱われるのは仕方ないのかもしれないけれども、ホラーだとか怪談だとか、そういうくくりでばかり扱われるべき作家ではないと思う。

 町田康もおもしろかったし、異界小説はやっぱりいいなあ。
 恩田陸も『球形の季節』が一等好きだし。閑になったら、そういうのもまとめてみたい。