中村弦『天使の歩廊』

去年のファンタジーノベル大賞受賞作。
明治の初期に生まれた異能の建築家が、この世ならぬ建築を建てる、という設定の連作短編集。
この世ならぬ建築を享受できるのが、大金持ちと、死者(図面のみ)だけというところがなんとも言えないが、ファンタジーのアイディアとしてはおもしろいと思う。
宗男議員や篠田真由美がどんな感想を持つか、知りたいものである。

この著者は、まったく知らない人なのだが、その夫人が、かつて『幻想文学』で手伝いをしてくれていた女性であった(びっくり)。彼女は、私とは個人的にも妙な縁がある人で、出会ったときにはそのことで互いに驚いたのだった……。
中村夫人のことを思うと、世間は狭い、と思うのである。


天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語

天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語

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