朱川湊人『赤々煉恋』 (創元推理文庫 )

朱川湊人は怪奇物の短編(短編連作)を中心に書いている作家。長編ではSFを執筆。特撮マニアだそうだ。
『赤々煉恋(せきせきれんれん)』は文庫版はこの一月刊行だが、単行本は2006年。収録作は五作。単行本を所有していないので、各編の初出は知らない。
ネクロフィリックな作品が多い。幽霊と死体が好きなのか、これしか構想できないのかはわからない。『都市伝説セピア』(2003)を読んだときには、新人にしてはわりといいんじゃないの、と思ったけど、その後『花まんま』『かたみ歌』『水銀虫』と読み、どうでもいい作家だということに落ち着いた。特に最後のものはひどかった。なんで読んだのかというと、本をもらったから。『水銀虫』よりはましだが、おすすめしたい本ではない。以下、ネタバレ的モチーフの要約。






「死体写真師」ネクロフィリア物に魂を吸い取る写真というモチーフを絡めたもの。
「レイニー・エレーン」東電OL殺人事件物。幽霊がうようよしていて、時に人間に憑依するというモチーフ。このラストの文章のまずさったら……。そもそも風船(魂とか霊とかいったもの)が、「ふわふわと……螢のように」って何。ふわふわしてるけど、螢みたいに光るってことなんですかね。
「アタシの、いちばん、ほしいもの」自殺の完遂は魔物に取り憑かれて起きるという話。自殺者の幽霊がうろついていて、時に人間に察知されるというモチーフ。女子高生の一人称。五十近いおっさんには無理。
「私はフランセス」アクロトモフィリアの話。まったくだめ。
「いつか、静かの海に」石の女を育てる話。人形愛好の一変形か。平野啓一郎の「日蝕」を思い出した。そういえば、ネットに石化少女テーマを集めている人もいた。わりと一般的な幻想か。