まぼろしたてもの

小栗虫太郎黒死館殺人事件』にこだわり続けて幾星霜、素天堂さんが『黒死館逍遙』の別巻「まぼろしたてもの考 2」を刊行された。
「これで本当に最後」とおっしゃる、最終巻。
まぼろしたてもの」は、『幻想文学』の建築特集に寄せてくださった原稿の大幅増補改訂版だが、最新刊の「2」では、もう増補と版とは呼べず、むしろ『ノートルダム・ド・パリにおける建築』論と言うべきであろう。
建築家としてのユダヤの神を論じる第二章が、読み応えがあった。
また、書物としての建築を論じるあたりの熱気も素天堂さんならではというか、建築愛がほとばしるようで魅力的だ。
広い意味での建築幻想を語らせれば、当代無比の人だと改めて思った。

素天堂さんの名前は、今回の『講義録』にも登場する。松山俊太郎先生へのインタビュー中、超人的な黒死館探索を続ける人物として。このエピソードも凄い。

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黒死館徘徊録……黒死館辞典その他
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