突っ走る少女たち

昨日は久々に都会に出て、ディズニーアニメを観た。行き帰りの車中では『シャドウハンター 硝子の街』を読了。

似たような年齢の少女たち。物語はまったく違うが、どちらも、オトナや周囲の言うことを聞かずに突っ走る。突っ走るから事件が起きて、物語になるのだけど、そういう物語の作り方は、稚拙ではないか。

シャドウハンターの方クラリーは、突っ走るせいで、人を危険に巻き込む。で、作中でもジェイスにそうズハリと言われて、傷つき、反省する。しかし反省もつかの間、やっぱり勝手な行動を取ってしまう。そうしないと物語が展開しない……。物語なので結果オーライでどんどん進んでゆくのだけれど、クラリーが思い込み激しく、あまりにも直情的なので、うんざりしてくる。ジェイスがクラリーに惹かれるのは、天使の血ゆえなんだろうな、ほかに理由がないもん、みたいにしか感じられないのは、ロマン色が強い作品だけに、つらい。
物語の方は、母親が目覚めてジェイスの素性が分かり、戦いの方も一段落。しかしまだ続きがあるようだ。
なお、日本のマンガ好きなマックス9歳はナルトのほかに「天使禁漁区」が好きらしい。変な設定。


メリダとおそろしの森」はケルト色を前面に押し出した3DCG。ケルティック・レディ風の音楽とか細部の描き込みとか。
 これは、物語がとことんまずい。お転婆な少女が、王妃となるための教育に反発し、母親に呪いをかける(魔女にかけてもらう)。その結果、予期せぬことが起き、少女は「私は悪くない、魔女のせい」と開き直る。こうした態度を改めないかぎり、魔法は解けないのだが……。
 やんちゃでいたずら好きの三つ子の弟がいて、弟たちは何をしても許されるが、私には何も許されない、といったせりふがある。男女差を問題にしたいのなら、弟ではなく、兄をもってこなければいけない。上の子には、どの時代でも「手本となる」という宿命があるから。上が怠ければ、下はそれを当然のこととする。だから常に上の子は辛いのだ。
 さらに、結婚したくないのがわがままに見えるように、求婚者はもっとマトモでなければいけない。コメディの定石とばかりに、かなり最低な王子たちで、これでは確かに選べない。
 結婚に心構えがないのは、母親の教育が悪いせいだ。どう見ても王妃が国を取り仕切っているのである。だから自分の立場をどうすべきなのかを、政治的な観点から教えておくべきなのである。そもそも、なぜ学ぶのか、という問いに対する答えを与えずに、マトモに勉強すると考えることがおかしいのである。
 いや、だいたい、四つの地域を、一人の国王でまとめようとしていて、残りの一つに王女を嫁がせるというのは、非常に危険では……。しかも弟が三つ子。この小さなケルトの王国の将来はヤバイ(笑)。
 いや、そういうリアルな設定でなくてもかまわないのだが、母親と娘の確執の話なのに、王女と王国の話にしてしまったのがいけないのだ。その二つがきちんとかみ合っていないので、メリダにちっとも感情移入できない。王女なら、王妃教育を受けるのは当然で、いろいろ我慢するのも当たり前だからである。
 アニメーションは相変わらずすばらしい。特に呪いをかけられた母親は、名演技というほかない。それだけでも観に行く価値はあるだろう。