ハート・クレイン

ニューヨーク滞在記の中に、マンハッタンの橋のことが出てきて、「ハート・クレインが歌った橋」だと解説(?)がついているが、その付言の方が一般人にはよほどわからない。クレインはロスト・ジェネレーションを代表する詩人のひとりだが、若くして海に身を投げて自殺してしまった。その代表作がマンハッタンに架かるブルックリン橋にインスパイアされた「橋」である。
翻訳は『ハート・クレイン詩集』(東雄一郎訳・南雲堂)などで読めるが、原文も難しすぎて読めないというほどではない。

How many dawns, chill from his rippling rest
The seagull's wings shall dip and pivot him,
Shedding white rings of tumult, building high
Over the chained bay waters Liberty

冒頭の一節である。