新海誠が目指すのはセカンド宮崎駿なのか?

今日の午前。さいたま新都心ムービックスにて「星を追う子ども」を観る。相変わらず入りはいまいちなので、褒めたいのだけど、どうしてもそんな気分になれませんなあ。
まず、キャラクターデザインが相当に悪い。動物や怪物も含めて。そして表情の動かし方。何が悪いのかって、宮崎アニメにそっくりすぎ。森崎先生が一瞬見せる悪者の表情とかさあ、女の子の決意顔とか、ないでしょ、それ。猫みたいな動物もヒトガタの守護者もあーあーという感じ。
1975年という設定だけど、どうしてトトロみたいな校舎にして三輪トラックを出す必要がある? もちろん間違いとは言えないが(そういう名残の時代であるから)、そうしたアイテムが時代性を出し得ていないので、単にトトロをやりたかったのか、と見えてしまう。オマージュとは言わない。自分も宮崎駿をやりたかった、そういうことなのだ、と見えてしまう。
 背景の絵はそこそこきれいで、音楽もいいけれど、ぐだぐだな脚本にも困る。誰が主人公なんだ?と言いたいくらい、ヒロインの心が描けていない。森崎の方がよほどわかりやすいし(それでもアスナを引っ張り回すのは理解できない……ていうか、そうしないと話が進まないからそうなってるだけだけど)、一貫しているので、こっちが主人公なのかと思ってしまうほど。若年層向けエンタメに必要な一貫した主張に欠けるので、こんなわけわからない冒険話になるのだろう。とにかく女手一つで育ててくれている母親を棄ててまで冒険に走るヒロインが「寂しかったから」などというのでは、お話にならない。
新海のこれまでの作品は、内容はとことんなかったが、とりあえず、雰囲気だけはあって、それと精密な背景画の美しさで売っていた人だった。最初は個人で作っていたというのも大きかったし。それが資本があってエンタメ作るとなると、これまでの良いところは棄て、悪いところは残したまま、という風になってしまうのが何とも言えない。
アニメも表現技術は高くなったけど、脚本が問題ありのことが多い。本当に、才能のある人に、この業界に入って欲しい。