HP改造

自分のサイトを改造中で、ほかのことが何もできない。
しかしパソコンの調子が悪くて、まるでMacみたいにフリーズするので、その時に、ぽちぽち本に目を通している。
伊藤整の芸術論である。
「正義感と芸術性」というのがすこぶる面白い。
伊藤は物事を理屈で考え抜こうとするが、それをかみくだいた言葉で語る。また自分のことをしつこく語るがその距離感が絶妙である。
そこで面白く感じるのだ。彼は「理屈ばかり言っていて芸の力はない」と評されたらしいのであるが、そんな評価も平静に受け止め、その背景を解説する。芸術とは何か、芸術に感動するとはどういうことかといった問題に少年時代に目覚めた伊藤は、「考えることそれ自体がとても気に入った。つまりこの種のことを考えるのに生き甲斐を感じ始めた」という。徐々に知識が広がり、成長していっても、いろいろ思考を重ねることは「やっぱり面白かった」と言っている。
何をおもしろいと感じるのかで、人間の趣味は多様に分かれて仲間を作っていく。私は芸術関連の批評とは、本当は伊藤のようなタイプの人間がすることだと思う。読んだり観たりしたら面白かったから、感想を書こう、ということでは批評にはならない。こんな風に考えることに喜びを見出す、だからそのことを学ぶのに労力を惜しまない、そういう人間が批評(評論)を書くものだと思う。