ディズニー・アニメ二本立て

昨日は水曜日だったので、シネコンで映画。外は寒かったが、映画館の中は暖かかった。
プリンセスと魔法のキス、スパイ・アニマル Gフォースの二本立てで。
プリンセスと魔法のキス
 まったく何の期待もせずに観に行った。CGアニメはもう数回スルーしているが、これはセルアニメであり、その点だけでも見る価値はあるという程度の思いで。しかし、出来は良かった。映像そのものは必見である。物語は、要するにシンデレラ・ストーリーだが(ディズニーだから)、原作がないからか(「カエルの王子」が元ネタだが、ネタにしただけでオリジナルの物語である)、破綻なく良くできている。とはいえ優れたストーリーなどを期待してはいけない……って期待してる人もいないか。いろいろと突っ込みどころはあるけど、でもって日本でなら、絶対にこんなエンディングならないと思うけど、アメリカのアニメなので仕方ない。原作がないから、許せてしまう。
 ともあれ、ディズニーの長篇アニメで最初の黒人ヒロイン。ディズニーはこれまで、ロマ、中国人、中東人、ネイティヴ・アメリカンなどをヒロインとしてきたわけだが、黒人の場合、もしも「ホカポンタス」みたいなものを作ってしまったら、抗議の嵐になることは必至である。どうせ、黒人も白人と同じように描くだけだろうな、と思っていたが、まあその通りであった。しかも非常にうまい逃げ道を用意している。ヒロインはほとんどの時間が可愛らしいカエルなのだ。王子はナヴィーというので、中東の王子だろう。こっちもほとんどカエルである。半分以上は、ディズニーお得意の動物アニメのような感じなのだ。カエルって、アニメとは相性がいいのか、たくさん作品があるのだけれど、確かに活き活きとした動きを描くのに最適な感じ。
 例によってディズニーらしい引用の数々はご愛嬌としても、日本のアニメもよく研究したのであろう美しい背景、秀逸な特殊効果とCG部分の巧みな挿入(水の描写などがすばらしい……って私の趣味なだけだけど)、そしてもちろんディズニー・アニメ特有の動き等々、アニメ・ファンならば是非観てもらいたい。
 ただし、私が観たのは日本語吹き替え版だったorz。ミュージカルなのに……。ちゃんと歌える俳優を使っているので、悪くはないけど(特に主役の二人)、そもそも日本語に無理があるので、原語版で見たかった。とりあずDVDが出たら買うことに決めたのであった。

「スパイ・アニマル Gフォース」
 まず、吹き替え版でない劇場を探したが、見つからなかった。ニコラス・ケイジペネロペ・クルスは、そしてきっとそうだと思うのだが、ダジャレやギャグは……orz。物語としては、徹底的にバカな物を期待したが、みごとに肩すかしを食った。引用によるくすぐりはもういいよ。部分的なバカさだけでは楽しめない。もっと全面的にバカを期待する!
 そもそも、家電に内蔵されたなんちゃらが一斉に異変を起こす……って前にも観たような話だし、がらくたロボットの造形も既視感ありあり。ああ、でも年食ってるのでソースが思い出せない。うーん辛うじて思い出せるのは「老人Z」だけだ……。もっと近い物があっはずなんだが。
 CGと実写の合成はあまりにもすごくて、ああ、メリー・ポピンズは遠くなったと……比べるべきじゃないわな。ていうか、このフレーズをもう長年使ってるし(笑)。
 物語は少しでも真面目に見たら、突っ込みどころ多過ぎ。たぶん、もともとの企画はただのバカな話だったのだろうが、ディズニーお得意の家族愛テーマを入れなさいかなんかの指令が来たものか、あれあれな展開で明らかになる根本的設定の恐ろしさ。
 この設定だと、ベンは最危険人物である。なんといっても蠅とゴキブリを思いのままに操ることが出来るのだ! ゴキブリはね、さすがにリアルじゃないよ、でもゴキブリだってわかるしデカイ。エンディングタイトルもすごいので、ゴキブリを見ただけでひきつけるような人は用心しよう。ハムスターやフェレットが好きな人は、それだけで幸せになれる映画である。私としては、プレーリードッグを主人公にした次回作なんかを期待したいところだ。