みだりに性的対象として肯定的に描写

東京都の青少年保護条例について、マンガ家による記者会見が開かれたおかげで、大手新聞等でも記事になった。しかし、遺憾なことに、これらの記事は、問題点をあまり押さえずに、ロリコン・ポルノが子供の目に触れないようにすることが必要か否かという視点に立ってしまっているように思われる。「社会常識」的には、そんなの必要に決まっているだろ、条例オッケーということになる。しかし問題とされているのは、そこのところではない。

http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20100316ddlk13010263000c.html
http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY201003150446.html

ここで「性暴力」「強姦など」などと書かれているが、条例にはその一言もない。もともとの条例にしても「性的感情を刺激し、残虐性を助長し」としか書かれていないのである。そして付け加えられたのは「性交あるいは性交類似行為によって(非実在青少年を)みだりに性的対象として肯定的に描写」したものという第二項。青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を損なうためであるとされる。

こうした新聞の問題点を以下の記事で読むことが出来る。
http://www.pjnews.net/news/533/20100316_2

繰り返すが、問題はそこにはない。非常にわかりやすく書かれている記事を見つけた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100311/213285/

法律的な問題については以下などでも触れられている。
http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/2010/03/post-c115.html

法律には素人だが、法文には明確性が必要である。その一方で、しばしば明確性を欠くのが法文でもある。だが、恣意的で不明確な法文は、その対象範囲者を萎縮させるという瑕瑾があり、法学的に認められないのでは。論文で読んだことがある程度の知識だが……。以下に簡単に書かれたブログを見つけた。最も問題とされているのはこの点である。同条例のインターネット規制においても同様のことが言えるはずだ。
http://rssws.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-4d3a.html

私は青少年保護の目的の悪書追放運動自体を否定しているが、その点を置くとしても、今回の改正で最も気に入らないのは、児童ポルノ撲滅、児童ポルノからの青少年の保護をうたいながら、そのための施策を何一つ打ち出さず、現実とは何ら関係がないとも言われている悪書追放にやっきになっている点である。何度も言うが、準・児童ポルノ(二次元ロリコン・ポルノをリアルの児童ポルノと同列に扱う)という考え方は現実の児童が被害を受けている児童ポルノそのものを軽視しており、本当に児童のことを考えている行為とはとても言えない。
この点に関しても、以下のブログが参考になる。音声については特に教わるところが多かった。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100315/213387/?P=3&ST=politics