詭弁大会

 名鑑のために作品確認の意味でたくさんの本を読破中。
 今は意味不明の解説がついているラノベを確認中。中にはタイトルや思わせぶりな言葉(不思議な人、秘められた謎)があるので、読んでみるとただの学園ものだったり、ミステリーだったり。
 宮崎アニメのまねっこ、京極堂のいただきなど、そんなにファンタスティックでないものの亜流でありながら、大地の意志だとか本物の妖怪とか出てくるものもある。後者系作品の中には、下手にうんちくを入れたがるためにしょうもない詭弁が出てきたりする。ミステリーでは、定説のない事象について、論者Aの意見を絶対(規定)のものとした上で、相手を論破する、という手が取られる。まあミステリーでは、ラノベに限らず、うんちく型ではありがち。誰か、一見権威と見える者の意見を参考にする、という点が大切。柳田国男だと効果は大きく、矢追純一だと効果は小さい、というかマイナスか。これは自分に都合のいい説を持ってくるというパターンで、普通の社会でも応用が利く。
 解説が意味不明だったので読んでみた『満月の涙の結晶は』三話が収録されていて、第一話は良かったが、あとの二話がね。メルヘン的な設定と現実とを合致させることについての考え方が甘いのだろう。
 第一話は水族館の魚の魂が抜け出して世界を水化して泳ぎ回るという話で、第二話はその続篇。で、ここにあまり応用の利かないすごい詭弁がある。「魚たちは水族館の水槽に閉じこめられているわけではない、水がないと生きていけないから水槽に入れている」と意思疎通のできる魚に言うのである。子供を束縛する親があなたのためよ、などと言うのに似ているが、この詭弁はあまりにも完璧というか、すごいので、鉢植えの花ぐらいにしか応用が利かない。動物園の檻の中の肉食獣が、広い場所が欲しい、と訴えたら、君たちを閉じこめたわけではない、外に出せば人間に怖がられて殺されるので、保護しているのだ、と。パンダなんかも、種が絶滅しないためとか理由がつけ
られるだろうか。しかしなかなか人間への応用はぱっと思いつかない。
 さて、このように魚とも意思疎通の利く世界で、釣りが趣味の人もいれば、魚も普通に食されている。こういうこと、気にしないのねー。こういう作品は私基準では減点4。ちなみに、しょっちゅう菓子や料理の名前が出てくるのも特徴だが、この入れ方がへたくそ。