島村英紀「私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。」

 拘置所生活もの。著者は地震学者で、北大から告訴されたりして、詐欺容疑で逮捕されたのだが、こはまったくのナンセンスであったらしい。なんというか逮捕そのものが既に理不尽なので、司法当局がやっていることは人権侵害以外の何ものでもなく、アムネスティから批判されるのも当然である。検察の取り調べもひどい。調書がどのように書かれるかも解説しているが、こんな書き方では冤罪が頻繁に起きるのは当然なのである。取り調べも裁判も「有罪は既定」として進むので、冤罪もまた「既定の事実」だ。まともに読むと怒りが爆裂して体に悪いので斜め読み。しかし著者の方は、終始冷静なのだった……。
 なお、著者は、地震予知をナンセンスだとして、そこに金を使う行政を批判し続けてきたらしいのだが、そのためにこんな事態になったのではないか、というようなことを言っている。まあね、そういうこともあるかもね。