角田光代『対岸の彼女』

 内容がどうのこうのという話ではない。私は興味ないが、それなりの小説だ。
 冒頭近くに、主人公Aが働きに出る理由として、一万三千円のブラウスを買いたいと思ったが、それが35歳の女性として高い買い物なのかどうかの見当がつかなくなっていたから、というようなことが書かれている。社会的な人間として取り残されていることの比喩なのだろう。しかし、これが高いかどうかは、やっぱり家計費、家庭環境、価値観の問題であって、35歳の女性としてどうのこうのということではないのではないか、と激しく思った。こんなことを考えていて、それまで働いていたなんてむしろ信じられん。それとも、こういう感覚が、企業で働く女性なんかにはあるんだろうか? 絶対的な価格基準なんかあるわけないだろと思う自分がずれてるのか?
 ちなみに私は、一枚、一万円以上のブラウスなんか、この年になるまで買ったことはない。無駄〜と思う。三千円のブラウスだって20年は着ている私である! まあね、一冊一万円以上の本だったらね、いろいろあるけど。でも一冊三万円以上の本は買ったことがないぞ<(`^´)>。