アポカリプト

 メル・ギブスン監督。というのが非常に気にはなったが、全篇マヤ語で素人を起用というので、見に行った。
 メキシコのインディオの言葉がまったくわからないので、マヤ語なんだかそうでないんだかもわからないということに気づいたが(遅い)、面白く聞いた。
 全篇にわたって、血みどろ。15R指定は当然。で、プロットはめちゃくちゃで、歴史的にもでたらめ。これって中南米史をやっている人からクレームが付かないわけ?
 まず、惹句に「マヤ文明崩壊前夜」とかあったが、アステカの間違いである。マヤ文明の末期に生贄祭祀をするアステカが現れて、人狩りを始める、という話なのか(つまり13世紀頃)と思ってみていると、予言をする少女が現れて、崩壊するのはアステカらしいということがわかる。?なんだこれ? でもって最後にスペイン人が登場。16世紀かよ! アステカ文明崩壊前夜じゃないか……。映像は、儀式はいわゆるアステカの祭祀に近いが、ピラミッドはマヤのものを使用。メキシコの遺跡は破壊されててポピュラーではないせいか? そもそもアステカの爛熟期、こんな首都の近くに、自由採集民の村があっていきなり襲われて皆殺し……とかあるわけないじゃん。日食の使い方も変だし。さらに、冒頭のエピグラフや、話の展開からすると、スペイン人の侵攻が正当化されていると言わずばなるまい。
 予告編では、狩りのおもちゃにされて逃げる話なのかと思ったが、そういうのとも違った。設定にいろいろと無理がありすぎ。どうせくだらない内容なんだから、もっとジャングルの中での逃走と戦いを描けば良かったのだ。この部分はそれなりにおもしろかった。素人の役者も良かった。なにしろマヤ語だから、せりふは下手でも全然わからない。
 メル・ギブスンの映画を二度と見ることはないだろう……たぶんね。