『世界文学あらすじ大事典』

piedra2007-06-03

世界文学あらすじ大事典〈1〉あ~きょぅ

世界文学あらすじ大事典〈1〉あ~きょぅ

全四巻がようやく完結したので、ケーキを持って国書刊行会にご挨拶に行った。
編集担当者が、三巻が出た時点で健康を害して会社を辞めたため、四分の三をお世話になった彼にお礼できなかったのが残念である。
この仕事は、金銭的には見合わないが、とにかく勉強になった。こんなにまとめて世界の文学を読むことは、当分ないだろう。もちろん翻訳でしか読んでいないが、それでも得るところは多々あり、自信にもなった。こういうことはもっと若い時に、30代くらいでやっておくべきことだったろう。私は幻想文学に特化しすぎていて、バルザックなどは馬鹿にしていたのである。まったく間違いだった。いや、今でもバルザックは説教くさくて好きじゃないけど、多少は視野が広がった。
自分の知らない幻想文学系作品の存在にも気づかされた。
最近の文学の方法論意識の低さにうんざりもしていたが、そのことがよりはっきりと意識されるようにもなった。
 今さらな話だが、文学全体をより深く愛せるようになった。
 もともと幻想文学という枠組を知るまでは、私はごく普通に、日本語で書かれたものならなんでも、文学全体、いろいろなものを読んでいた。そういうところへもう一度帰って、そして昔はちっとも読めていなかったということを反省しながら、世界文学のおもしろさにもう一度目覚めたのである。
 牧さんが書いた世界文学のガイド本がある。自分の守備範囲と重なる本がほとんどで、読んだことのない本も稀なので、かつてなら、先にやられちゃったと感じたろうが、今の自分は、そうは感じない。もっと別のことに興味が移ったということだと思っている。
 まことに得難い体験だった。一日14時間働いて休日もほとんどまともに取れないという辛い仕事だったので、怒濤のように愚痴をこぼして、関係者にはご迷惑をおかけしたかも知れないが、この仕事ができたことを本当にラッキーだったと思っている。
 高価で個人向けの本ではないが、多くの図書館が入れてもらって、文学が好きだという多くの人に読んでもらいたい。

ケーキは、作り置きのパート・フィユタージュを使って、ミルフィーユ・バナーヌと柳正司先生のレシピのリンゴの気まぐれタルトを作った。自分で食べていないので、コンビネーションの具合や焼け具合がわからない。ミルフィーユの方は少し焼きすぎで、異様に崩れやすかった。フィリングはレモン・リキュールを使ったカスタードに、バナナのシュガー&コワントローのソテー。これは『お菓子大百科』という本に、どこかの店ではこんなミルフィーユを作っているという紹介があったので、それを推測して作ってみた、自前のレシピ。