神保町から九段下まで

 長男の東工大の買書計画が進み、多くの本を購入したが、新刊で出ていない本がいくつかあると言う。
 『非Aの世界』は仕方ないにしても、『ノーストリリア』がないとは何としたことか。仕方ないかもしれないけど、『カエアンの聖衣』もない。
 東京方面に出るついでに、神田の古書街の100円棚にでも運良く落ちているかどうか見てきてやるよと請け合って出かけたが、それ専門の店じゃないと、SF文庫というのはもともとそんなに見かけるものではなく、結局、かけらも無かった。もちろんそれ専門の店で高い物を買う気はしない。
 それで全く買うつもりもなかった100円本を買ったり、読む閑もない翻訳書をつい買い込んだりして、何をやっておるのかという感じである。
 神田から九段下まで抜けながら、古書街が終末期の赤い地球というか、何だかそういうものに見えた。もともとこの界隈に思い入れはないし、書籍から距離を取りつつあるからだろう。
 
 九段下から銀座に出たが、今は半蔵門線というのが通っているので、おもしろ半分に乗ってみたところ、三越前でどえらく歩く羽目になってしまった。東京の地下はわけのわからないものになっている。そして、地下の通路には昔の東京の写真などが随所に飾られ、土地の変遷を語りかけている。変貌する土地と過去への郷愁と。最近のファンタジーでよく使われるネタだなあ。