ユートピアと現代
- 作者: ミヒャエルヴィンター,Michael Winter,杉浦健之
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 単行本
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人間の特質は、未来企図にある、という考えが脳裏を去らない。そして、ユートピアという幻想が、多くの人類を動かしている、という、きわめて大雑把で、何を言っているんだか、というような考えを、このところ頭の中でずっともてあそんでる。
で、たまたま本書を読んだ。著者はユートピア文学を網羅して解説した研究書を執筆しているそうだ。本書はその解説編というか、その副産物なのだろう。私の考えているものよりも射程は短いけれど、つまりより大雑把じゃないけれど、似たようなことを考えている人がいるんだな、という印象を抱いた。
膨大な、文献渉猟の結果書かれたものだけあって、ユートピアの範囲が広く、本書で扱われているものにも、これをユートピアにくくるのか、というようなケースがある。その点にも大いに共感させられた。
現代の文明論としても秀逸で、一読の価値あり。