スワロウテイル人工少女販売処
- 作者: 籘真千歳,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/06/30
- メディア: 文庫
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文章がひどい……というか、ユニークを狙ったけど、数ページ書いたところで挫折して、なし崩し的に普通になったが、しかし結局巧みな文章とは言えない、というようなしろものだった。つまんないルビ振りにも疲れる。中二病だから仕方ない……と寛大にはなれない。小説ではどれだけ言葉が大事なものか、エンタメ作家といえども、充分に考えるべきである。
しかしまあ、最後までそれなりに読めたので、可としよう。
全体はミステリーっぽいので、ネタばらしを避けるために多くは触れないが、「ゼイリブ」風に特殊な形で、町に書かれた物語をある団体が共有する、というギミックが使われていて、これはちょっとおもしろいかな。しかし、そのための掘り下げが甘い。なぜなら、これが悩める揚羽の物語だからだ。焦点を二つもった長篇に挑むにはまだ技術力が不足しているのではないか。人工知能の問題も含め、いろんなことを詰め込みすぎて、あるところでは、つまらない会話で延々と背景説明、あるところでは設定から納得しがたい発言や状況説明が出てきたり、あるべき説明が脱けていたり、といった具合で、消化不良感が強い。
奇をてらわず、もっとエンターテインメントの歴史に敬意をもって接して、かっちりした長篇を書いたらいいのではないのか。ていうか、少なくとも二冊書けたろ、これで。