専門家

原発について書くことをずっとやめてきたが、ちょっと書いてみようと思う。
先日、あるマスコミ関係者から、こんなことを言われたからだ。

東電は、超優良企業で、文化事業でもなんでも、東電が関わることが多かった。マスコミは東電には逆らえない。
また、原発政策に対して、諸手をあげて賛成してきた経緯がある。
だから、マスコミは当てにするな。
自分でちゃんと情報収集しろ。
真の意味で、市民は情報リテラシーが問われている。

……無責任だが、そういうものなんだろう。だって、マスコミは、規模が大きいもの。会社を維持していくことをメインに考えたら、そうなる。
で、トラブル続発で、一向に棺桶になりそうもない福島原発を遠目に見、電力各社の株主総会の様子を見ながら、ちょっと書いてみようという気になった。

原発の問題はいろいろあると思うけど、現時点での、政府とか東電のエリートの心の奥底にあるのは、こんなことではないかと思う。

起こってしまった事故は仕方ない。何とかごまかせる程度の被害で済んでいる。発がんリスクが高まったとしても結果が出るのは10年後、20年後だ。その頃には自分はもう引退しているし、この世にはいないかもしれない。このままうやむやに収束させることができれば、原発に関わってきた自分の身は安泰だろう。今、脱原発を認めてしまえば、原発=悪となって、自分は大きな責任を問われてしまう。……

原発は、理性的に考えると高コストなので、普通なら手を出さない分野である。今度のような事故を見ればわかるが、事故がなくても、廃炉廃棄物処理など、とにかく、金食い虫なのだ。原発推進は国策で、国の補助があるから、つまり、税金をふんだんに使えるから、平気で原発など作っておるのだ。独禁法埒外にあるから、電気料金に全部上乗せできる仕組みだし。今回の事故だって、本気で、誠実に保障したら、あっという間に東電は倒産である。国のカネ(それは税金なのだ!)を当てにしていれば、また、不作為の結果として全部切り抜けられると考えていればこそである。復興費として消費税を上げることに国民は理解を示しているが、こんなに復興に手間取るのも、原発の事故が収束しないということが最大の原因となっている。日本の国民は気前が良いのだ。
いちばん最初に原発推進の法律を通した中曽根康弘は、羊から毛を刈り取るように、国民が知らないままにむしり取れば良い、と言ったそうだけど(ああ、ソースが見つかんない)。
原発脱却を、国民(私も含む)が本気で考えてこなかったため、価値が下落中の日本の価値がまた下がってしまった。福島の人だけじゃなくて、日本全体が怒りまくっても良い状態だというのに。放射性物質がばらまかれたせいで、これまでの基準値が、いろいろな場面で上回っている。そうすると、基準値が現実に合わない、と言って引き上げる。国内ではそれで済んでも(つまり、日本人は原発を容認してきたんだから、発がんリスクや放射線による不調を我慢するしかないとしても)、世界的には通用しないだろう。
それでも、まだ、原発を推進するのだ。きっと目もくらむほど多くの人が、この原発利権にたかっているんだろうなあ。

○私の反原発はほぼ高木仁三郎著作経由なのだけど、今は小出裕章が中心なのかな?
http://hiroakikoide.wordpress.com/
本当に能力のある若い人は、日本から出るしかないのでは、という気になることはまちがいない。