ロバート・ジョーダン死す

 9月16日。先日、Wizards of the Coast に追悼文が載っていたのを、長男が見つけたので知った。ついに恐れていたことが起きた、という感じである。辛い難病から逃れられたことをせめてもの幸いとしたい。
 結局、時の車輪の最終巻が出ていない。これを完結させることはジョーダンの義務だったのに。せめて誰か信頼できる人に完結編を書いてもらいたい。マーティンなんかと親しかったのではないかと思うが。
 
 今週は名鑑以外の締め切りのある仕事に追われていた。
 その関連のおもしろかった本。すごく古い本だが、存在を知らなかった。

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公文庫)

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公文庫)

 1966年中公新書の再刊。
 ヨーロッパが穀物食ではなく、肉食なのは、乾燥した気候の産物である。
 畜産をしていると、獣と人間が近い存在となるが、それを食べてしまうという観点から、獣と人間とを截然と分ける必要が生じる。
 家畜は人間に食べられるために神によって作られている、という思想が手っ取り早い。
 神を頂点とする、ヒエラルキーの誕生。ものすごい差別主義。神を頂点に、僧・貴族が人間で、あとは獣と同じ、というような発想がある。
…………
 こんな風に書いてあるわけではないが、このように理解した。単純化されすぎているきらいはあるが、こういう思考傾向についても考慮に入れて、ヨーロッパの思想をとらえるべきなのだろうと思った。
 前に、気候が定住を促した、という発想の書物を紹介したと思うが、気候(住的環境)決定論というのもおもしろいと思った。
 日本独特の気候は、日本独自の思想を生んでいるはず、ということである。
 で、

日本の霊性―越後・佐渡を歩く (新潮文庫)

日本の霊性―越後・佐渡を歩く (新潮文庫)

 ここでは、佐渡流罪にされた日蓮親鸞の開眼があったことが強調されている。
 名鑑との関連で、伊達一行の作品を読んでいたが、「かく誘うものの何であろうとも」でも同じ主張がなされていた。
 まあ、日本海側の豪雪が、世界でも稀に見る現象なので、日本人(の一部)の思想形成に大きい影響を与えた、というのは、よく目にする言説であるようにも思うが、佐渡とは直結しない。
 論理はあるようで、ない。
 この本は、写真がきれい。

 以上とはまったく関係なく、最近解説を書いた本。
 

<忘れられた領域> クレリック・サーガ 森を覆う影(D&D スーパーファンタジー フォーゴトン・レルム)

<忘れられた領域> クレリック・サーガ 森を覆う影(D&D スーパーファンタジー フォーゴトン・レルム)