プレステージ

 ごく普通の映画。物語も単純化されていて(原作の重要な、しかし映像化は困難と思う部分は無視されている)、わかりやすく、映画的にはまあまあではないか。原作を知らないと、ミステリ的には引っ張れるとは思うが、テスラの装置で、ふざけんなよ、と思う人が出るだろう(原作の重要な……がないため)。
 テスラがデヴィッド・ボウイなのだが、老けてて、一瞬、えっ?と思った。相変わらず芝居は下手だ……。
 19世紀的な装いのヒュー・ジャクソンを見てると、狼男とかに変身するのでは(期待)……などと思ってしまう自分が情けない。

 映画が話題作になって、何よりすごいと思うのは、稲生平太郎『不思議な物語』で紹介された〈The Quiet Woman〉が一時まったく手に入らなかったのに(絶望的なまでに売れなかったろうと稲生平太郎は評している)、最近再刊されたこと(ただし高い)。世界幻想文学大賞を取った時にもこんなことは起きなかった。