映画いろいろ

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールズ・エンド】
 物語はでたらめで、ラストも? もともと物語目当てで見る映画ではないので、その点はまあどうでもいい。ディズニーの特撮なので、CGワークが素晴らしかった。特に水の表現。見るべきなのはそれぐらいか。

【しゃべれどしゃべれども】
 平山秀幸と奥寺佐渡子のコンビによる。物語はアンリアルで、ラストも? もともと物語目当てで見に行ってはいないのだが、それにしてもヒロインの精神的背景をもう少し説明してもいいのでは。社会生活に最低限の態度も取れないのは、いったいなぜ? 好かれたくないから、と喝破するのはいいけど、それなら、本気で何とかしなくちゃというせりふは? 主人公も、野球解説者も少年もわかりやすいのに、これではヒロインは精神疾患である。
 映画としては、下町情緒の演出(?)に都電を三回も使うな、末広亭などの寄席をもっとちゃんと撮れ、水上バスに乗せるな、と言いたい。要するに安易でがっかりしたのである。東京の下町風景が薄くなっていることはわかっているけど、もうちょっと撮りようがあるでしょ。これじゃテレビみたいだよ。
 少年役の子が芸達者で、枝雀師匠の「まんじゅうこわい」のコピーをやってのける。この子がいたからこれを撮ろうかと思ったんかいな? それにしても枝雀は天才だったなーと関係ないことを考える。
 主役は左利きの人だが、右手を使う練習をしたそうで、そばの食い方が不器用だった。落語はまあまあだった。練習の時には、とにかく下手なままにさせ、本番でそれなりに演じさせたせいもあるか。だいたい、若手の落語家にはもっとひどいのもいる。

ボラット
 諷刺というほどのものではない、下品な映画。劇場内は爆笑だったが、笑うにはあまりにも下劣。そもそもシモとエロが多すぎ。

コマンダンテ
 カストロのインタビュー。はぐらかしているところはあったが理路整然と一貫した世界観を見せる。30時間のインタビューなどを編集したものというから、語る信念は強固に築かれたものなのだろう。きわめて現実的、合理的、理知的。それでもって革命ができたというのが、驚き。多田さんが偉大だったという印象を語るのも無理はない。
 自民党の独裁で、「粛々と議事を進める」と言えば、「自民党が数でごり押ししてやりたいようにやる」というだけでしかない日本と、現役を退かない総司令官が君臨するキューバと……独裁者がカストロのようであれば、独裁者でもかまわない。