映画靖国の上映

 上映が始まり、先日、クローズアップ現代でも取り上げられ、新聞にも投稿が載り、すっかり社会現象になった映画である。やっぱり見に行かないと思うが、人が入っているもようで、めでたいと言っておこう。映画館はどこもそんなに人が入っているとは思えないもの。それなのにこの乱立。
 反日映画と言われるのは、中国人が撮っているからで、日本人監督だと、サヨク映画とか言われるのだろうけど、それだとインパクトがない。それでも反日映画と言われるのかしら。右翼映画なんかはシネコンにだってかかるのだが、サヨク映画はだいたいドキュメンタリーで単館だったりするから待遇は悪い。まあどうでもいいのだが、こんな風に騒がれて、配給会社は大変だけどほくほくものであろう。騒がなければ、ひっそり上映されてオシマイ、なのが普通の日本なのだ。
 渋谷ではシネアミューズでやっているようで、ここでは昨夏、トッコーという似たような手法のドキュメンタリーをやっていて、これも結構人が入っていたと記憶する。時間が合わなくて見られなかったが、これは反日だったのか右翼だったのか?(笑) 現実には「中立」とも異なる、つまり左右とか日外とかいう視点の映画ではないのだが、そういう視点で見たい人間は見るということだろう。靖国もそうだと思うが、要するに日本の文化とか日本人の意識とか、特に深層にあるものに迫りたいのだろう。その点、ムーアの直接的な社会批判とは、全く異なるドキュメンタリーだと思う。監督やスタッフは自分の心にも問い、観客もまたそうする、ということを映画は本当は求めているのではないだろうか。