シッコ

 マイケル・ムーアなので、話半分として見たが、それでも衝撃的。日本の保険制度は英仏加と比べても全然遅れてるんじゃないか! それをさらにひどくしようというのだから……。最も社会主義的な国だとか言ってた日本はどうなったのだ……ってそれはこの格差社会でもうすっかり過去の物になったのね。
 このドキュメンタリーが本当ならば、アメリカ国民はよく耐えて生きている。というか生きてられないで死んでしまうのだが。あまりにもひどいので信じられない、というのが本当のところ。海外留学、転勤などでも、こんな話は聞かないもの。あの超人気番組のERとか、虚飾もいいとこというところ? この分野には興味がなくて、ドキュメンタリーを一つも読んだことがなかったので(日本からアメリカに渡って手術、などというのもバカらしくて興味がもてないでいた)、本当に何も知らないのだ。
 ただ、アメリカの政治は、資産家が動かしている、というのは確かなことなのだろう。日本はその傾向は戦前から引き継いで消えたことがないと思うけど、アメリカから民主主義が導入されたので、むしろアメリカの監視の下、やや改善されたという経緯がある。しかしアメリカ自身が元来そういう体質だから、財閥の解体なんかはできなくてそれは温存され、全体として、中くらいのところに落ち着いた。それを「改革」した結果が、現在の格差社会なのだろう。経済成長がなければ国が滅ぶという恐怖心で人々をあおるわけだ。
 ムーアの映画を見ていると、合衆国は民主国家ではない。政策は金持ちが決める。一般人も、経済界のキャンペーンでたやすく動かされるので、富裕層のいいなりであるように見える。銃社会も、戦争も、医療も、すべては「儲けを最大に」するため。ギリシア時代の、奴隷のある民主主義のよう。もっとも市民(奴隷じゃない人)が戦争に行かない、というのが違うけど。
 すべてはMaximum profit(MP?)のために!って、BF団のために、と同じように怖い。そこでは、一般人は数でカウントされるだけなのだ。